こんにちは。 韓国で2人の子どもたちを日韓バイリンガルにしようとしているまめちゃん(@mame_chang)です。
私は長年、外国人、特に高校生以上を対象に日本語を教えた経験があります。 これは、「国語と日本語」の「日本語」の部分に当たります。
・「国語」と「日本語」って何がちがうの?という方はこちらへ ↓↓
だいたいの場合、伝統的な教え方にのっとって教えてきましたが、自分に子どもができて韓国で子育てをしながら日本語を子どもに教えていると、「日本語」を教えている学生たちとは教え方も学生たちが覚える順番も違うと思いました。
今回は、そんな日本語を覚える順番について特に「文法」に焦点を当ててお話しします。
日本語を勉強する学習者と子どもは日本語を同じように覚える?!
では、日本語を外国語として勉強する学生(学習者)と海外で親から日本語で話しかけられたりして覚える場合は、どのように違うのかについて、まずは日本語を勉強する学生(学習者)たちのことからみていきたいと思います。
★.日本語を勉強する学生たちの覚え方
いろいろな教え方やシラバスがありますが、日本語教育の世界でよくあるのは文法を易しいものから難しいものへと積み上げていく方法です。
ざっと見ると以下のような順番です。
- 名詞
- 形容詞
- 動詞
これをやりつつ、間に疑問詞や肯定形、否定形、過去形などが入ります。 まずひらがなから始まり、次に「これ、それ、あれ、どれ」などを勉強し、
「これは何ですか」
「私は韓国人です。」
「○○さんは、日本人ではありません。」
動詞は、まずは「食べます → 食べて」と「〜て」の形をどうやって作るか勉強し、次に「食べます → 食べない」「食べます → 食べる」などの活用をやって行きます。 この考え方では、文法は易しいものから難しいものへと教えるべきで、学生もその順番で覚えると考えます。
そのため、「食べます」から「食べて」の変形方法を教えてないから「食べない」は、まだわからない、そしてできないはずだ、という考え方になります。 一方で海外で日本人の親から日本語を覚えた子どもはどんな順番で日本語を覚えるのでしょうか。
★.親に日本語を教えられた子供の場合
親から日本語で話しかけられて日本語を覚えた子供たちは、満1歳ごろから言葉を発し始め言葉が1つの単語だけだったのが2つとなり2つが3つとなり、文や文章を作っていきます。
例えば、
単語が1つだけ → 「ママ!」
単語が2つ → 「ママ、どこ?」
単語が3つ → 「ママ、なんで食べないの?」
といった感じです。 日本語を学ぶ学生が、「ここ、そこ、あそこ、どこ」をちゃんと覚えてから次にいくのに対して子どもは、「ここ、そこ、あそこ、どこ」を間違えることがあっても学生が、ずっと後になってから習う以下のような言い方を比較的早く覚えます。
- 「おねえちゃんに、たたかれた。」
- 「嫌だって言ってるじゃん!」
1.は、「たたく」といいう単語も「たたかれる」という形も初級の学生には難しいです。 また、2.の「〜じゃん」は、初級の教科書には出てこない、こなれた表現です。 しかし、子どもたちはお姉ちゃんに叩かれたことや、嫌だということを伝えたいために、その場面場面に合う言葉を覚えていくのです。 これは、海外で日本語を親に教えてもらう子どもも日本国内にいる子どももある程度は似ていると思います。
なぜ同じように覚えない?
では、学生が日本語を覚える順番と海外で親から日本語を教えてもらってる子どもが覚える日本語の順番は、どうしてこんなに違うのでしょうか。 それは、一つの理由として学生とこのような子どもの場合は、耳に入ってくる日本語や使う日本語が違うからです。 日本語の先生は学生と話す時、相手に合わせて自分が使う日本語の語彙や文法を調整します。 その方が、学生とコミュニケーションが取れて学生も自信がつくからです。
また、日本語を外国語として学習している学生は、年齢的には大人(今回の話では中学生か高校生以上)であるため、自分の母語では言いたいことがたくさんあり、知能も年齢に応じて発達しているのに新しく学ぶ言語でそれが表現できないという状態なのです。
もちろん親も子どもがわからなそうな日本語は易しい言葉に変えたりして調整しますが、基本的に親は
などと考えません。 また、学生が毎日何時間か集中的に授業を受けたとしても親が子どもと日本語を話す時間と比べたら、到底追いつきません。 つまり、
・日本語を外国語として学習する場合 → 教師はコミュニケーションを取るために使う日本語を調整する。文法は簡単なものから難しいものへと積み上げていく。
・親から日本語で話しかけられて覚える場合 → 親が子どもといる時間(話す時間)は学習者の比にもならないほど多い。親は日本語文法、子どもが既習かどうかなどは考えず生活しながらその場面に合った自然な言葉で子どもに話しかける。
ということです。 そして結論をひと言で言うと
ということになります。
海外でバイリンガル育児をする親はどうしたらいい?
ところで、海外で子どもをバイリンガルに育てようとバイリンガル育児をしている親は、どうしたらいいのでしょうか。 外国人に日本語を教える先生のようになったらいいのでしょうか?
答えは、
というのがベストです。 もちろん、滞在している国の言語がわかる人や日本語教育の知識がある人は子どもが日本語を間違えた時などに、すぐにその理由がわかるし訂正の仕方もわかるので役に立つ面もあります。
しかし、そればかりに目が行ってしまい子どもとのコミュニケーションの中身がなくなってしまったら大変です。 とりあえずはできることから始めるというのが現実的のような気がします。
まとめ
以上のように、日本語を学ぶ学生と親から日本語を教えられる子どもは同じようには覚えません。 日本語を学ぶ学生と親から日本語で話しかけられて日本語を覚える子供達はどうして同じように覚えないのか、その理由も少し書きました。
繰り返しになりますが、なぜ違うかというと、
・日本語を外国語として学習する場合 → 教師はコミュニケーションを取るために使う日本語を調整する。文法は簡単なものから難しいものへと積み上げていく。
・親から日本語で話しかけられて覚える場合 → 親が子どもといる時間(話す時間)は学習者の比にもならないほど多い。親は日本語文法、子どもが既習かどうかなどは考えず生活しながらその場面に合った自然な言葉で子どもに話しかける。
ということになります。 では、海外でバイリンガル育児をしている親はどうしたらいいのか?ですが、日本語教師の知識があるに越したことはないのですが、そこにばかり気を取られずまずは子供と自然な日本語でコミュニケーションをとることから始めるのがいいと思います。
バイリンガル育児は…、日々の積み重ねです。
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