こんにちは。韓国で2人の子どもたちを日韓バイリンガルにしようとしているまめちゃん(@mame_chang)です。独身の時に韓国に住んでいた時は、自分の韓国語を磨くことに力を注ぎ、結婚して子どもができてからは韓国に住んでいても子どもたちには日本語や日本文化を知って欲しいと思い、韓国でバイリンガル子育てを始めて早や10年ほど経ちました。
韓国に住んで10年以上経っていますが、子どもを連れての日本への一時帰国は1年に1回または2回ほどしています。韓国は外国と言っても近いので距離がある国よりは帰りやすいものだと思います。しかし、そうは言ってもやはり韓国は日本ではありません。どこに行っても韓国語ばかりなので、親がちゃんと意識しないと親も韓国語の方が楽になって韓国語に流されてしまいます。
このブログは、そんな事態にならないように一時帰国の時に子どもたちを日本の学校や保育園に預けた経験も書いています。今回は、そんな中でも下の子を日本の保育園に一時保育で預けてから見えてきた言葉の変化についてメモしたものについて、「なぜそうなったのか?」などの理由も織り混ぜつつお話ししたいと思います。
一時帰国と言葉の変化(うちの保育園児の場合)
これまで、一時帰国についてこのブログでは準備や感想などについても何度か書きました。そしてリサーチをしたり、挨拶に行ったり実際に保育園にあずけてみた感想なども書いてみました。そして、先日は保育園に持っていく準備物に焦点をあてて「保育園の一時保育の準備物は結局・・・(事前のやりとりと実際)」に詳しく書きました(詳しくは参考記事からどうぞ↓↓)。
海外で子育てをしていて日本語の力も伸ばしたいと思っている親にとって、一時帰国をする時は日本語が伸びることを期待します。私もそのような親のひとりで、一時帰国となると日本で食べたいものや、飲みたいもの、会いたい友達などのことも考えますが、子どもたちの日本語能力についてもどうするか、限られた一時帰国の期間を最大限生かすために考えます。
では、一時帰国で見えてきた下の子(保育園児)の日本語の変化に焦点をあてて、観察して見えてきたことや今後はどうしたらいいのかなどを早速書いてみたいと思います。
今回の一時帰国の概要
今回の一時帰国は次のような感じでした。
一時帰国の期間 : ほぼ1か月間(地域は関西)
保育園の一時保育: 平日の13日間(午前10時ごろから午後3時ごろまで)
週末 : 日本の家族と過ごしたりショッピングセンターに買い物に出かけたりなど。
言語の環境 : ほぼ100パーセント日本語、たまに上の子が韓国語を話す時や韓国にいるパパとSNSのビデオチャットでちょっと韓国語を話す程度。
一時帰国は、このようにほぼ1か月間で保育園でも家でもほぼ100パーセント日本語の環境を作ることができました。 韓国語がわかるのは私と上の子だけですが、もちろん私から子どもたちに向かって韓国語で話しかけることは絶対にありませんでした。なぜなら、また韓国に戻れば韓国語ばかりの環境になるので、貴重な一時帰国の間にあえて韓国語で話しかける理由はどこにもなかったからです。
このような環境の中で、子どもが使う日本語を観察してみるとおもしろい変化が見られました。
どんな変化が見られた?!
まず、「日本語」と言っていますが、以前「子供に話しかける日本語は標準語?!」で書いたように、韓国にいる間は日本語教師の経験が長い私自身に多少のこだわりがあって日本語といっても標準語(東京方言)で話しかけていました(詳細は↓↓参考記事からどうぞ)。
しかし、一時帰国先は関西です。もちろん日本語といってもご存じのように標準語と関西弁では大きな違いがあります。ちなみに私の母語は関西弁なので関西に戻るともちろん関西弁となります。そして保育園の先生、お友達、日本のおばあちゃん、買い物に行ったときのお店の人などなど、周りが関西弁の海となります。下の子の言葉に変化が見られたのは・・・・
いつ頃から? → 保育園の一時保育にあずけ始めて5日目ごろから
どんな変化? → 関西アクセントでしゃべりだした!
これだけだと、
となると思うのですが、詳しく観察していると次のようなアクセント(イントネーション)が見られました。
★.子どもの発言から
(ピンク色でアンダーラインのあるひらがなは、その部分のイントネーションが高いことを表します。)
①「めっちゃ、さむい!」
②「ここ、たかいからこわい!」
③「きょうは、いきたくない」
④「なんか、ねむいからねたい」
⑤「これ、おかしいやん」
ここまでは、とっても自然な関西弁です(笑)。 周りの影響を受けて関西アクセントを使うようになったんだなぁと思いました。⑤の「~やん」まで覚えてくるとは子どもって本当に早いですね~。しかし、一方でこんな発言も見られました。
⑥「ママ、みずちょうだい」
⑦「あした、おかいものいく?」
⑧「そんなん、要らん!」
とっても自然な関西アクセントの中に、ふと混じる⑥~⑧のようなアクセントを聞いて、
と思いました。関西人ならわかると思いますが、正しくは次のようになります。
⑥-1「ママ、みずちょうだい」
⑦-1「あした、おかいものいく?」
⑧-1「そんなん、要らん!」
つまり、⑥~⑧は正しい関西アクセントではないので間違いとなります。では、
と思いましたが、そうではありません。子どもが高く発音する部分を見ていると全部ことばの最初のひらがなのです。「みず」の「み」、「いく」の「い」、そして「要らん」の「い」です。 そこで、はっと気が付きました。この子は・・・
と思いました。これは語学が好きな私にはかなり興味をそそる気づきでした。
どうしてこうなるの?!
ここで日本語教師を経験した者として、ふと大昔に勉強した言葉が浮かびました。それは「過剰般化」や「一般化」という言葉です。簡単に説明すると、日本語を勉強している外国の人に「日本語」+「先生」や「アメリカ」+「車」のように「名詞」+「名詞」の時は、あいだに「の」をいれますよ、と教えます。「日本の先生」「アメリカの車」というふうにです。このルールを教えると、いろいろなものに過剰に当てはめて一般化してしまい、「あたらしい」+「服」の「あたらしい」は形容詞なのに「あたらしいの服」と間違えてしまうことです。
子どもが使うイントネーションを聞いていて、関西アクセントには言葉の最初にアクセントが来ることもが多いので、特にルールを教えたわけではないのですが
と思いました。日本語教師としての経験では「あたらしいの服」のように文法的なことが多くイントネーションや発音に関しては大人の学習者は自分の母語の影響が出ることが多いのであまり見ることはできませんでした。
そのため、「うちの子は、発音・イントネーションの面に一般化が表れているのかな?」 と思いました。
これを科学的に検証しようと思ったら、同じような子どもが使う言葉を録音するなどして例をもっともっと集めて分析しないといけないのですが、論文を書くわけではないので、今回はしない予定です^^;。
まとめと今後
韓国に戻る日が来れば、日本語がほぼ100パーセントの環境から韓国の保育園、韓国のお友達、韓国の親戚・・・・と韓国語が100%の環境となり反対になります。今のままだと、日本語の標準語ではないとは言えママの母語である関西弁の⑥~⑧の間違ったイントネーションが定着してしまうのは、ちょっとマズイと思います。
今後は、家の中でも少しずつ関西弁を子供達に使い、間違ったイントネーションの日本語はそれが標準語であれ関西弁であれ、少しずつ根気強く訂正していこうと思います。
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