こんにちは。韓国で2人の子どもたちを日韓バイリンガルにしようとしているまめちゃん(@mame_chang)です。 海外で日本語で子育てをする話がテーマのこのブログ。 親の方針で日本語で子育てをしている家庭も多いと思います。
突然ですが、バイリンガル子育てとは何のためにするのでしょうか。 親のため? 子供の将来のため? この問いにはいろいろな答えが出てきそうです。
ところで、国語、日本語、英語、外国語という言葉はもちろん聞いたことがあると思いますが、「継承語」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。 今回は、バイリンガル子育ての中でも「継承語」という点からお話をしてみたいと思います。
バイリンガル子育ては何のため? -継承語という考え方-
それでは、「継承語」とは、いったい何でしょうか。 まずは、「継承する」という言葉の意味から見ていきます。 辞書を見ると、次のように書いてあります。
[名](スル)前代の人の身分・仕事・財産などを受け継ぐこと。承継。「伝統芸能を継承する」
そして、「継承語」と考えると以下のようになります。
「前の代」→ 親
「身分、仕事、財産」→ 日本語
つまり、「継承語」とは何かというと・・・
「親からの財産として受け継いでいく言語。」
となるのではないかと思います。 両親が共に日本人で海外に住む場合も、国際結婚で両親のうちどちらかが日本人である場合も、親か持っている財産(ここでは日本語のこと)を受け継いでいくことです。 もちろん、国際結婚で両親の母語が違う場合(パパは韓国語、ママは日本語)で、日本でも韓国でもない国に住んでいる場合は継承語が2つとなります。
親から言語を継承することにはどんな意味がある?
財産と言われれば、ついついお金など金銭的なことをイメージしてしまうのでは私だけでしょうか......。 しかし、親の言語を「財産」と考えてそれを受け継いでいくとすると、それにはどんな意味があるのでしょうか。リストにしてみると、次の3つのような気がします。
- 言語的と文化を受け継ぐ。
- 親が育った文化背景が理解できる。
- 子どもが自分のルーツを理解する助けになる。
言語とは、文化を反映するものだと思います。 そのため、1つの言語で言えることがもう一方の言語では表現しにくかったりすることもよくあります。 その理由には、言語的なものの他にその言語が使われる文化を反映していることも多々あります。
例えば、韓国語には、「몸살(モムサル)」という言葉があります。 これは韓日辞典を見ると「ひどい疲労などから来る病気」と書いてあります(NAVAR 韓日辞典より)。 1つの単語で説明できないのですが、韓国在住の日本人なら
と、一度はかならず聞いたことがある言葉です。
これはいつもハイスピードで物事をがんばって進めてしまう韓国人ならではの症状なのかもしれません。 これはひとつの例ですが、このように日本語にして1つの単語にできなかったり、ぴったりくる日本語の言葉がないのは韓国という国の文化を反映しているのではないかと思うのです。
次に、2.ですが、1.で言語と一緒に文化が理解できると親に対する考え方や行動を理解するのに役に立ちます。 例えば、韓国に住んでいる私の家族の場合だと、私は韓国語がわかりますがどうしてもたまに日本語の影響を受けた韓国語を使ってしまったり、親戚との集まりで韓国人の親戚とは違う考え方や行動をしていることもあります。それを上の子はキャッチして
と聞いてくることもあります。 そんな時に、
や
などと説明をすると、
と、不思議そうに聞いています。そして、それは、3.の「子どもが自分のルーツを理解する助けになる」と思います。 韓国に住んでいて韓国人の父と日本人の母を持つうちの子は、日本語を覚えたり日本に時々一時帰国したりすることで、自分は「半分は日本人」であることやその「日本人っていったいどんな人たちなの?」といったルーツを韓国や韓国人との違いを感じながら理解するのに役に立つと思います。
継承語はいいことばかり?!
しかし、一方で「いいことばかりではないのでは?」という思いもよぎります。それは・・・
- 韓国語に影響された日本語の間違いをすることがある。
- 思春期あたりになると、アイディティティの葛藤ってどうなるの?
ということです。1.の韓国語に影響された間違いについては、親が根気よく直していけばいいと思うし、日本語を使う機会があれば訂正もしやすくなるように思います。
2.のアイデンティティとは、「で、私って結局韓国人なの? 日本人なの?」や「私って誰?!」のような葛藤です。 私は、モノリンガル(1つの言語)、モノカルチャー(1つの文化)で育ったので、全く同じ経験をしたことがありません。(ちなみに私の場合は、大学生の頃、関東の人たちの中で関西人1人という状況で生活してた時期があって、その時期が自分のアイデンティティについて考える機会となりました。その話はまた機会を改めて・・・。)
で、数年後に訪れる上の子の思春期に備えて親は何ができるかな?と考えてみました。
- 先輩パパや先輩パパに聞いてみる。
- 自分で調べられることは調べてみる。
- 子どもが葛藤を起こしていないか様子を観察してみる。
- 子どもが「私って韓国人なの? 日本人なの? 半分って何?」や「私って誰?」と言った時のために、どう答えようか少しずつ考えておく。
やはり、先に経験している先輩パパや先輩ママの経験談は貴重なので、できるだけたくさんの先輩パパ、先輩ママの経験談を韓国人、日本人にかかわらず聞いてみようと思います。
海外で育つ子どものアイデンティティについては、↓↓参考記事へ。
まとめ
今回は「継承語」という点から、その辞書的な意味と日本語や日本文化を子供に継承させていくことについて考えてみました。 継承語とは、
「親からの財産として受け継いでいく言語。」
のことです。 そして、継承語には3つの意味があります。 それは以下の3つです。
- 言語的と文化を受け継ぐ。
- 親が育った文化背景が理解できる。
- 子供が自分のルーツを理解する助けになる。
最後にアイデンティティの葛藤の話をしましたが、それでもやはり継承語として日本語を自分の子に受け継いでもらうことは、利点の方が多いように思います。 いろいろな事を頭に入れて子どもに日本語や日本文化を受け継いでもらわないといけないなぁと思う継承語。
しかし、「よ~し!子どもに日本語や日本文化を継承してもらうぞ!」と構えてやるのではなく、子どもの反応も見ながら・・・がよさそうです。