こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国で2人の子どもたちを日韓バイリンガルにしようと努力の毎日を過ごしています。
「世界には、一体いくつの言語があるんだろう......?」こんなことを考えたことがあるでしょうか。世界に存在する言語の数を正確に数えることはかなり難しく数え方によって3000~8000など幅がでます。
しかし言語の数とは関係なくたぶん共通することは、人はその言語を使って頭の中で考えたりコミュニケーションをしたりしているということだと思います。また、このブログでも何度か書いたと思いますが、言語はコミュニケーションの手段なので、それを身に付けてその後どうするのか、言語(特に外国語学習)を身に付けること自体が最終目標にならない方がいいと思います。
ところで今回は、この「言語」と「頭の中で考えること(思考)」に焦点をあてて、仮説を1つご紹介し、私なりの考えとバイリンガル子育てをしていて思うことについても書いてみたいと思います。
「サピア=ウォーフの仮説」とは?バイリンガル子育てをしてる親の目で見てみる
これはエドワード・サピアという人とベンジャミン・ウォーフというアメリカの言語学者が唱えた仮説です。
ある言語を母語とする人の認識・思考はその言語によって影響されるという説。言語相対主義ともいう。アメリカの言語学者 E.サピアならびに B.ウォーフの著作のなかにその主張がみられることからのちの人々が両者の名をとってこう呼ぶ(後略)
コトバンク「サピア=ウォーフの仮説」より
簡単に言うと、ある人の母語はその人の考え方やものの見方に影響を与えるということで、例えば私の母語は日本語なので、日本語は私の考え方やものの見方に影響を与えるということで、私は日本語という言語を通して考え、何かを見たり聞いたりした時に日本語という言語を通して物を認識したりしているということになります。
この仮説で時々言われているのは、エスキモー語の話です。エスキモー語には雪を表現する言葉が30以上あり、エスキモー語が母語の人たちは雪に関する豊富な言語を通じて世界を認識するというのです。
韓国にいると「韓国語は肉の部位に関する言葉が多い」そして、「日本語は雨に関する言葉が多い」というのを聞いたことがあります。......ということは、韓国語が母語の人は肉に関連する言葉を通して、そして日本語が母語の人は雨に関する言葉を通して世界をみている、ということでしょうか(......ってなんだか実感がありませんが。)
この仮説はみんなに支持されてるの?
この仮説を支持する人や研究者もいますが、批判する人や研究者もいます。このブログでも以前紹介したことがある本に『言語を生みだす本能』というのがあります。この本の詳細は「合わせて読みたい」からご覧いただくことにして、この本の著者のスティーブン・ピンカーは批判する立場にいます。
・スティーブン・ピンカーの本の紹介 ↓↓
スティーブン・ピンカーの考えでは言語は本能的なものだとしています。そして人間は生まれつき普遍的な文法を持って生まれてきて、そして母語の文法を習得するということです。有名な学者が、ひとつの仮説を唱え、また別の有名な学者がそれを支持しない...。
有名でもなんでもなく、ただバイリンガル育児をしている1人の親からすると、一体どっちが正しいのか、自分は何を信じるべきか迷うところです。では、そのバイリンガル育児をしている1人の親として思うことを次に書いてみます。
バイリンガル子育てをしている親の目で見てみると?
今回の仮説の中にもスティーブン・ピンカーの話にも「バイリンガル」という言葉は出てこないのですが、現在子どもをバイリンガルにしようとがんばっている親の立場で考えると、気になるのは次の2つです。
- バイリンガルはどんな言語で頭の中で考えていているのか。
- 言語を通して世界を認識しているのだとしたらバイリンガルはモノリンガルの2倍なのかな?
1.については、私は前から気になっていました。なぜなら、私との会話は日本語でも頭の中では何語なのかな~?思うことがあったからです。自分の子どもとはいえ、他の人の頭の中を覗き見することはできません(これについても以前書いたことがあるので「合わせて読みたい」からご覧ください)。
・バイリンガルは何語で考える? ↓↓
そして、私が常々思っているのは「言語は文化を反映する」ということなのですが、言語を通して世界を認識しているのだとしたら、バイリンガルはモノリンガル(言語が1つしかできない人)に比べたら世界の認識が2倍になる、ということなのかな? しかしそんな単純なものでもないのかな? とも考えてしまいます。
バイリンガル子育てをしている1人の親として、もし言語が2つできることがその2つの言語を通して世界を見ることで、それが視野を広げたり考え方にバラエティを持たせることができるというものであるなら、歓迎したいと思います。
バイリンガル育児をしている親は知識として持とう
先ほどは、「一体どちらを信じたらいいのやら...」のような事を書きました。しかし、色々な仮説や理論などを見ていて思うのは、
全てを鵜呑みにするのではなく、全てを信じないのでもなく...。
ということです。そして、知識は持っている分にはたくさんあって困るという事はなく、要はそれを自分や自分の子どもが置かれている環境に当てはめて考えてみることが大切だということです。そうすると、自分や子どもの状況が少し客観的に見えたり理解できなかったことが少し納得できる... ということもあります。
仮説や理論とか言うと、なんだか難しいですがこのブログではできるだけわかりやすく例を挙げながらお話できたらいいなと思います。
まとめ
今回は、サピアとウォーフが提唱した有名な仮説、「サピア=ウォーフの仮説」についてお話し、バイリンガル子育てをしている親としてはどう思うかについても書いてみました。いくら自分の子どもといっても他の人の頭の中は覗くことができないため、実際は子どもたちがどちらの言語で頭の中で考えていて、それが子供たちが世界を見るのにどんな風に影響を与えているのかは未知の域をでません。
もう一度、今回のポイントだけ取り出すと次のようになります。
ポイント
・サピア=ウォーフの仮説とは?
「ある人の母語はその人の考え方やものの見方に影響を与える。母語を通してこの世界を見る」というもの。
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そしてバイリンガル育児をしている人が学べることは?
「仮説や理論は知識として持っておこう!」
ということです。
批判も受けているこの仮説ですが、この仮説にしても批判する立場の考察にしても、バイリンガルに育つ子どもの役に立つものならどちらでも歓迎したいというのが親としての正直なところです。
・母語とは? ↓↓