こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国で2人の子どもたちを日韓バイリンガルにしようと毎日奮闘しています。
このブログでは、「韓国に住んでも子どもには日本語や日本文化をちゃんと身につけてほしいな〜」という気持ちでやってみていることなどを中心に書いています。
そして、何度もこのブログで使う言葉が「母語」です。この言葉は「母国語」と混同されやすいのですが同じものではありません。詳しい違いは「合わせて読みたい」から以前に書いたものを見ていただくことにしたいと思います。
・母語と母国語の違いについて ↓↓
今回は「母語」と「母国語」の区別ではなく、「母語」という言葉だけにスポットを当てて「母語」という言葉自体について考えてみたいと思います。
「母語」って言うけど「父語」って言葉はあるのかな?!
「母語」という言葉を辞書で引いたりインターネットで調べると、その定義がいくつかのサイトで紹介されています。
ちょっと短く紹介すると、例えば「コトバンク」というサイトだと、何冊かの辞書からの定義を載せていて「母語」については、デジタル大辞泉、世界大百科辞典など6種類の辞書からの定義が載っています。
では、デジタル大辞泉には何と載っているかというと・・・
1 《mother tongue の訳語》人が生まれて最初に習い覚えた言語。
2 同じ系統に属する諸言語が共通の源とする言語。フランス語・イタリア語などに対するラテン語の類。祖語。
とあります。このブログで何度も言ってきたのは、1.の方です。
そして、ブリタニカ国際大百科事典には、
ある人が幼児期に周囲の人が話すのを聞いて自然に習い覚えた最初の言語。 (後略)
コトバンク「母語」より
と書いてあります。つまり、母語とは人が生まれて周りの人が話すの聞いて自然に覚えた言語という意味なのです。周りの人にはカッコで「特に母親」と書いてある辞書もありました。
そして、この「母語」は言葉そのものを見ると「母」「語」と書いてあります。漢字から「母から習った言葉」だと思ってしまったり、「母」がつく言葉で、同じような言葉だと思ってしまうような言葉がいくつかあるからだと思います。それは例えば、「母国語」に加えて、
「母校」「母国」
などです。これはそれぞれ、「母の学校」「母の国」という意味ではなく、「出身」を表す「母」がつく言葉です。この「母」がつく言葉は他にもたくさんあって、その意味もそれぞれ少しずつ違います。一瞬考えないとその「母」がどの意味なのか、わからないことも混同の原因なのかもしれません。
「母語」の解釈って?
ちょっと繰り返しになりますが、「人が生まれて最初に習い覚えた言語。」や「ある人が幼児期に周囲の人が話すのを聞いて・・・」は、子どもを育てる時一番接触が多いのはお母さんだと考えると、母語は「お母さんの言葉」と解釈する人も多いと思います。
これは「父親は外で働いて母親は家庭で子供を育てる。」という考え方をしている場合は、しっくりくると思うのですが、国際結婚、海外生活、両親の母語が違う場合はどうなるのでしょうか。
父親から教えられたら?
日本で生まれ育った私は両親の母語も同じ(しかも2人とも関西弁!)、私の生まれも育ちも関西なので、関西弁一色で高校辺りまで育ちました。
しかし、同じ日本でも両親の出身地が例えば首都圏と九州で、住んでいるのが関西だと家の外は関西弁、家庭内は標準語と九州の言葉が混ざって子どもは標準語、九州弁、関西弁が駆使できるようになるかもしれません。ちなみに、方言も1つの言語と考える立場もあります。
それはさておき、もし「母語」の「母」を「お母さん」と考えて両親の母語が違う場合はどうなるのでしょうか。子どもの時に父親から教えてもらって覚えた言葉でもそれが第1言語となれば「母語」なのでしょうか。
こうやって考えてみると「父語」という言葉があっても良さそうなのですが、言葉の定義上「母語」の「母」は、「お母さん」だけではないので今のところ、「父語」という言葉は正式にはありません。
【追記】
「父語」については、このブログ公開後に「わいわい」さんという方からご指摘をいただいています。ブログの↓↓下の方のコメント欄も合わせてご覧ください。
国際結婚をして住む国が母親の出身国や両親の出身国ではない場合、つまり父親の出身国ではない場合は、きっと「この言語はお父さんから教えられた言語だなぁ」と実感すると思います。例えば、父親の母語が日本語で母親の母語が韓国語、住んでいるのがタイ、といった場合です。
まとめ
今回は、「母語」という言葉を取り上げて、その「母」というのは「お母さん」の意味なのか?そして、父親から話しかけられて父の母語を覚えることもあるのに、「父語」という言葉は正式には存在しないといった話をしました。
「母語」以外にも「母」という言葉が前につく言葉はいくつもありますが、意味が違うこともあります。「母」という文字がつく言葉を書きだしてリストにしてみてどんな意味なのかを考えてみるだけでも、改めて「母」という漢字や言葉の意味の広さを実感できるのではないかと思います。