こんにちは〜。韓国で二児の母をしてるまめちゃん(@mame_chang)です。モノリンガル(1つの言語)、モノカルチャー(1つの文化)で育った私は、中学生になってから学校で英語を学び、それと共に日本以外の国にも少しずつ興味を持つようになりました。
その私が子どもたちをバイリンガル、バイカルチャーにしようとしているのですが、モノリンガル、モノカルチャーの母親の体験談(エピソード)は子どもには興味深いものとなるようです。
モノリンガル、モノカルチャーの母とバイリンガル、バイカルチャーの子どもたち
私は日本で日本人の両親のもとに生まれ育ちました。大学3年生になるまで日本を出たこともなかったです。また、「日本」と言っても私の両親は関西人なので高校を出るまでは関西弁しか聞かないし、周りもほぼ全関西人、私も関西弁しかしゃべれないという環境で育ちました。
つまり、言語的には私の母語(「母国語」ではありません。「母語」との違いについては↓↓下の記事をご参照ください)は関西弁で、私の母文化は関西となります。
★「母国語」と「母語」の違いについて ↓↓
そんな私が ひょんなことから韓国人と結婚して韓国に住むことになり、子どもたちを育てています。家の中など家族とは日本語を使い、日本と韓国を時々行き来してるため、子どもたちは日々、日本語と韓国語、そして日本と韓国の文化に触れています。
生まれた時からこんな感じだと、日本と韓国が自然と身近なものである子供たち。しかし、モノリンガル、モノカルチャーで育ち、成人してから自分の興味で勉強を始めた韓国語や韓国文化の受け入れには私と子どもとでは大きな差があります。
今回は、そんな中でも「言語」だけに絞って、
と子どもに話したらとても興味を持って聞いてくれたことについて書いて、それが子どものバイリンガル子育てにどう役立つか考えてみたいと思います。
ママの空耳はホントなのです
上の子は現在小学校高学年。韓国生まれ韓国育ちで韓国の現地校に通ってるので韓国語はネイティブです。私は大人になってから韓国に興味を持ち、韓国語の勉強を始めました。それから随分と時間が経ち韓国に住んで10年以上経ってます。そのため、日常生活では韓国語で困ることもなく、子どもたちの学校の先生や塾の先生との電話やSNSでのやり取りも全部韓国語でこなしています。
しかし......! そうは言ってもやはり韓国語は私にとっては外国語。ネイティブである子どもたちには、あっという間に抜かされてしまいました(汗)。
ところが、いくら韓国語を勉強して生活するには困らないとしても、それはあくまでも私の現在の韓国での行動範囲だけに限ります。また、日本で幼稚園から大学まで全て通った私は日本語で教育を受けてきたので学校に関する語彙は、全部日本語で頭に入っていて韓国語で入っているわけでありません。
子どもたちは私が韓国人ではないとわかってはいるものの、私が子どもたちが言うことが聞きとれないことがあると、
上の子:「ママ、明日学校に●●持って行かなきゃ。」
ママ:「えっ?! 何それ?」
上の子:「え〜っと。●●は、、、。なんて言えばいいんだろ? ママ、ホントにわかんない?」
と、なります。そんな時は、子どもが日本語で私に説明してくれるのですが、時にはそれがうまくいかずもどかしい思いをするようです。
日本語がわかるとはいえ、やはり強い方の言語(韓国語)が楽な上の子。また、最近興味の方向が変わって日本語をやりたがらくなってきたこともありこの辺で、
大人になってから言語を勉強するとどうなるか?
の例として私の経験を上の子に話しました。
ママの空耳エピソードを面白おかしく話してみる。
以前、どこかで読んだ本の中で(題名が思い出せません...)赤ちゃんは、生まれた時は世界のどんな言語でも理解できるが生まれてしばらく経つと母語にある音しか理解できなくなる、という内容がありました。
...ということは、私は中学生から英語を始めたのですでに母語(日本語)以外の音は理解できない脳の状態で日本語にはない音がいっぱいの英語を始めたようです。
さらに、大人になってから自分の興味で韓国語を始めたわけですから、これまた英語と同じく母語にない音がある韓国語に手を出してしまったことになります。そのため、文法や語彙は勉強したら身につき自分でもある程度使えるようになるのですが、どう頑張ってもネイティブになれないのが、
- 「聞き取り」
- 「発音」
- 「イントネーション」
です。
そのため、韓国語にまだ慣れてないころは今思い出したら笑ってしまうような間違いをたくさんしました。そのいくつかを上の子に話してみました。
★エピソード①韓国にはリスが入った海苔巻きがある?!
私が韓国に来てから、ある韓国人の人との会話でこんなのがありました。
この最後の「タンムジ」で私の頭は思考停止。まだ韓国語がおぼつかなかった私は意味を考えてみました。そこで思いついた単語が、
「リス🐿」
でした!
と驚き、そしてビビりました(汗)。しかし、相手は日本語がわからない韓国人だったので、とりあえず「たんむじ」とメモして後で辞書を引くと、、、
な〜んだ! 「たくわん」でした。
つまり、私は
たくわん(タンムジ/단무지)
リス(タランジュィ/다란취)
を混同してたわけです。今思えば、全然発音が違うのにどうして私はリスだと思ったのか、苦笑いです。
★エピソード②夫に「別れましょう!」とメールを送った真意とは?
韓国語には、日本語で「ん」に聞こえる発音が3種類あります。それぞれ、「n(ㄴ)」「ng(ㅇ)」「m(ㅁ)」で表されます。日本語にもこの発音の区別がありますが、文字では区別しないので、聞いて区別できない、意識して発音の区別ができない人も多いと思います。
そのため、韓国語を勉強する日本人に弱いと言われるのがこの3つの音、特に
「n(ㄴ)」「ng(ㅇ)」
の区別です。では、私がやってしまったこととは......?
結婚前に付き合ってた人(今の旦那サマです)とは、当時携帯のテキストメッセージや電話、たまにパソコンのメールで連絡を取り合っていました。しかし、ある日私の携帯がおかしくなったのです。もともと中古で買ったので古かったのですが、突然うまく使えなくなりました。
彼氏(=今の旦那)に伝える方法はパソコンのメールのみ。なので、パソコンでメールを送りました。その時、私が書いたメールの件名が、
「イサンヘヨ」
でした。そして、メールの本文に携帯がおかしいので連絡できないから何かあったらパソコンのメールに送るようお願いしました。ここで私がやらかしたのは、
「イサンヘヨ(이상해요!/韓国語でおかしい!という意味)」
を
「イサンヘヨ(이산해요!/韓国語で別れましょう!という意味)」
と書いてしまったことです。メールの件名を見て、びっくり仰天した旦那。しかしメール本文を見て間違いに気づいたらしいです。
今では笑えるエピソードです。
エピソードに対する子どもの反応
これら2つのママの体験を聞いた上の子の反応は、
- 「たくわん」と「リス」は全く違う言葉なのになぜ?!
- 「n(ㄴ)」「ng(ㅇ)」は全く違う発音なのになぜ?!
と、意外! 驚き! そして新鮮! といった様子でした。私が、
というと、なんだかわかったようなわからないような雰囲気だったので、上の子に実感をわかせるにはもうひとつ例が必要だと思い、これまたママの経験から話しました。
★エピソード③「昨日はうさぎを食べました。」に、ドッキリ?!
日本語を外国語として勉強する人達に日本語を教えた経験がある私。日本語教師をしていると、日本語学習者ならではの間違いに数多く出会います。その中でも日本語がネイティブの人ならしないだろう〜、という間違いを2つご紹介します。
時々出会うこの間違い。例えば、
という質問に対する答えで、
と言われることがあります。世界にはうさぎを食材とする文化もあり、韓国にもうさぎ鍋のようなものはあります。しかし、一般的なわけではなく田舎や山奥の店でごくたまに看板を見かけるぐらいです。
なので、
と思ってよくよく話を聞いてると次に
という発言で間違いに気づいたりします。日本語のネイティブからすると「うさぎ」と「うなぎ」は全く違うものだし「うさき」と「うなぎ」の平仮名が1つだけ違うということで混乱して会話で間違えるということはないと思います。
ちなみに、うなぎは韓国では塩や辛いソースをつけて焼いて食べます。うさぎと比べるととかなり一般的な食材と言えます。
★エピソード④「英語を見ました?!」
次も同じような例で、「週末は何をしましたか。」に対する答えでした。
は、最初は
英語の何を見たんだろう?!
英語を勉強しました、の間違いかな?!
と思ったのですが、実際は
「映画を見ました。」
の間違いでした。
「えいご」と「えいが」
これも平仮名にすると、ひと文字違い。日本語ネイティブがきいたら、
「英語を見ました。」
は、意味がおかしいので絶対に作らない文ですが、日本語の初級学習者にはまぎらわしい言葉のうちのひとつのようです。
子どものバイリンガル子育てにどう役立てる?
上の子に、「うさぎ」「うなぎ」、「英語」「映画」の話をすると反応は、
とのことでした。この反応は、日本語ネイティブである私と同じなので、日本語ネイティブの感覚も身についてるのかと思うと嬉しかったです。
そして、
というような話をしました。子どもは、生まれる前から日本語と韓国語に触れて育ってきたので新鮮で不思議な気持ちで聞くことができたようです。さらに、実感をわかせるには私も子どももネイティブではない英語の例でも出せばいいのですが、これはまたの機会にすることにしました。
このように、親子両方がネイティブの言語は、間違いや違いがわからないということについて、その感覚がわからないものだと思います。しかし、親子でネイティブである言語が少し違うと、特に親がネイティブではなく子どもがネイティブの言語がある場合は、親は自分の経験を話すことで説得力がある話ができると思います。
また、私の韓国語の間違いの例も日本語学習者の例もその場やその人が持つ雰囲気によっては笑いが生じ、空気が和んだりもします。しかし、バイリンガル子育てをしている親の立場では、海外に住んでいてもやはり日本語ネイティブのような言語感覚を身につけてほしいと思うものではないかと思います。
そう考えた時、ネイティブではない親の間違い(韓国語)の例や、日本語学習者がする間違いの例は子どもには新鮮であり、驚きであっても子ども自身が使う日本語には現れて欲しくないなぁと思います。
そのためにはやはり、日本語に毎日触れてもらうこと、子どもに毎日日本語を使ってもらうことの積み重ねではないかと思います。親子の、一見たわいもない会話である
みたいなのでさえ、子どもにとっては日本語を聞いて日本語で反応する、という一連の活動なのではないかと思ったりします。
まとめ
今回は、モノリンガル、モノカルチャーで育った私が、大人になってから勉強を始めた韓国語の間違いについて、そして日本語学習者がする間違いについて韓国語と日本語がネイティブであるうちの上の子に話したことやその反応についてお話ししました。
そして、バイリンガル子育てという観点からすると日本語も韓国語もネイティブに育てるのが理想なので、学習者がするような間違いはして欲しくないなぁと思います。
しかし、子どもの日本語の勉強に対するモチベーションか下がってきたり、最近現地語が強くなって来たな、と思ったらこのような話をすることで子供にもう一度日本語ネイティブに育てられてるんだということを感じてもらえたら嬉しいと思います。
子どもって大きくなるにつれて自分というものができてくるので、このような親の気持ちを少しでも汲み取ってくれることを願いつつ、、、。
・日本語が持つ「音」の種類については ↓↓