こんにちは〜。 韓国で二人の子ども達を日韓バイリンガルに育てているまめちゃん(@mame_chang)です。 私は日本で日本人の両親に育てられて中学校に入るまで日本語しかわかりませんでした。 また、出身が関西なので日本語と言っても私の第一言語は関西弁で、標準語は日本語の先生になろう!と思ってから少しずつ意識を始め、東京に5年ほど住んでた時に周りにお願いして特にイントネーションを直してもらいました。
そして、ひょんなことがきっかけで
と思うようになりました。 しかし、韓国人と結婚し韓国に移住し妊娠、出産し子どもが韓国の保育園に通うようになると、子どもの韓国語習得と伸び方、自然さに驚かされました。
今回は、韓国滞在や学習歴が子供よりも長いのになぜ子ども(保育園児)の韓国語の方が自然なのかについてお話しします。
韓国滞在や学習歴が長い私より保育園児が韓国語が自然なのはなぜ?
まず最初にこれを読む方にお話しせておきたいことがあります。それは、実をいうと、
「大人の外国語習得と子どもの言語習得はそもそも比べるものではない」
ということです。 学問的に見ると
・大人の外国語習得 → 第二言語習得
・子どもの言語習得 → 発達言語
という別の分野になります。 ここまで読むと最初に書いたことと矛盾してるように見えますが、韓国在住の私は次のような話を聞いたり聞かれたりすることが時々あります。
・日本語学習者から
・海外在住の日本人(海外で生まれ育ってるわけではなく大人になってから海外移住した方々)
そのため、あえてこの内容でひとつブログを書くことにしました。
韓国語学習歴が長い私ってどのぐらい?
私は学生時代には韓国語にはほとんど興味がなく、アメリカに少し住んでた頃、現地で出会った韓国人が話す韓国語を聞いて
と思って最初は独学で始めました。 当時は韓国語学習の教材は本屋さんに行っても、ほんの数冊棚の端に並んでる程度でした。 その後、約1年間地域の韓国語教室に通い、その後韓国に住みたい!と思って韓国に来ました。
韓国に来てからは韓国語教室には3ヶ月ほど通っただけで、あとは生活しながら覚えていきました。 途中で日本に帰ってきていた時期もありましたが、韓国生活は通算20年近くになっています。
生活しながら覚えた韓国語はまさに生活に密着してると思います。 例えば、以下のようなことが韓国語でできるようになりました。
・役所での必要な各種手続き。
・市場やスーパーで使う言葉。
・子ども達の先生達との連絡のために使う言葉。
・銀行で窓口の人と話す言葉。
・日本語がちゃんとわかる人が誰もいない義実家のみなさんとの親戚関係のやりとり。
・タクシーやバス、地下鉄の駅員さんとのやりとり。
・韓国人の学生に韓国語で日本語文法や日本文化を説明すること。
・職場の人と雑談、そして業務的な連絡などの話。
など。
おかけで、難しい本などは読めませんが生活に困るということはありませんでした。 しかし、ひと言ふた言ならいいのですが、しばらく話してると特に知らない人は真顔で私を見て
と聞いてきます。 やはり発音やイントネーションが韓国人ではないのです。
保育園児が韓国語が自然な理由
一方、韓国で生まれ育っているうちの子達。家の中では日本語を覚えてもらうことに集中して、韓国語は家の外(保育園)で覚えてくるだろうと思っていたら、その通りになりました。しかも、保育園に通う時期とは満1〜3歳頃で言葉が単語1つ、そして2つ、そして3つ繋げて段々と文を作るようになる時期です。
以前、私は以下のようなツイートをしました
、
私は成人後韓国語の勉強を始めた。自分の興味で始めたので楽しかったでも子供が生まれて韓国の保育園に通い出し先生に絵の具が付いた手を見せ
「묻었어요~(手に)ついた」
と2歳児が言った時
「そんな単語よく知ってるね!しかも過去形」
と学習者の私とネイティブの子の差を超実感した...
— バイリンガル育児@まめリンガル (@mame_chang) March 19, 2019
私が子どもを迎えに行ったら、服に絵の具がついたというのを先生に言いたかったらしく子どもが
と言いました。 ちなみに、「ソ」の音(つまり「S」の音)は、習得が遅いので、できるようになるまでは「T」の音で代用されます。 なので、「ムドッソヨ」とは言えず、「ムドットヨ」となり、なんとも小さい子どもらしくてかわいいです。
私が驚いたのは、「묻다(ムッタ)」なんて単語は私が韓国語の勉強を始めてから随分後になって知った単語だったのに、子どもは知ってるししかも過去形で使ってるしで
と思いました。 保育園児は場面や状況でその時その時に必要な言葉から覚えて行きます。しかも、親や先生などにどうにかしてほしいこと「おしっこ!」や「水ちょうだい。」「絵の具が服についた(どうしよう?!)」というのを訴えるためには、気づいてもらうよりも自分の言葉で言ったほうが早く気づいてもらえる、というのもあるように思います。
つまり、繰り返しになりますが場面や状況に合った言葉を周りとコミュニケーションするために覚えて使っていくので、自然なのだと思います。
なぜこうなる?
最初に「大人の外国語習得と子どもの言語習得はそもそも比べるものではない」と言いましたが、なぜ同じ人間なのにこうなるのでしょうか。
・ 大人の外国語学習
自分の国で学習するのか、または習得したい言語が使われている国に行って学習するのかによっても多少の違いますが、大人の外国語習得が子どもと違い理由はだいたい次の通りで、子どもには見られないものです。
1.文法や単語を覚えるのは通常易しいものから難しいものへと積み上げていくから。
2.母語が邪魔するから。
3.大人は知識も経験も子どもより多いのでいいたいことも多いし複雑であることも多いから。
では、簡単にひとつずつ見ていきます。
1.文法や単語を覚えるのは通常易しいものから難しいものへと積み上げていくから。
伝統的な外国語の教授法により教えられるとしたら、だいたい次のような順序になると思います。
1. 挨拶
2. これ、あれ、それ、どれ、
3.「私は日本人/学生/会社員です。」のような「主語は、名詞です。」とその否定形。
4.数字や数字関連(時間、買物)前、後、上、下などの位置など。
5. 形容詞、動詞など
このように多少の違いはあるにしても大人の学習者が外国語を学ぶ場合は、
易しい文法や単語
↓
難しい文法や単語
となっています。 そうでないと次に進んでもうまく積み重ねることができないという考え方が根底にあるからです。
2.母語が邪魔するから。
保育園児はまだ母語が確立していないのに対して、大人は自由自在に操り自分が言いたいことを表現できる母語が少なくとも1つはあります。しかし、その母語は時に外国語でいいたいことを表現する時に邪魔をすることがあります。
簡単な例だと、日本語が母語の人が英語を勉強する時、カタカナ英語や和製英語をいくら英語っぽく発音しても英語がネイティブの人には通じなかったり、日本語の発音の影響を受けてやたらと母音の多い発音になったりすることです。
3.大人は知識も経験も子どもより多いのでいいたいことも多いし複雑であることも多いから。
これはもう人生経験の違いだと思います。 保育園児は長くても人生経験が3年ぐらいです。一方大人は20歳だとしても17年もの差があります。また、2.で書いたように大人は自由に使える母語が少なくとも1つはあるので、母語で言えることを学習している言語でも言おうとします。
そうすると文法の違いやら語彙の足りなさなどから、特に初級の間は無理が生じてしまうのです。
自然な◯◯語に近づくには?
韓国語にしても他の言語にしても、勉強している人はネイティブのように自然な表現を使えるようになりたいと思うものだと思います。 果たして、これってできるのでしょうか。
方法はいくつかありますが、例えば次の方法です。
1.基本的な文法や語彙をある程度覚える。
2.ネイティブはどんな場面でどんな言葉を使っているか耳を傾ける。
3.よく耳にする言葉で意味がわからないものは誰かに聞いてみる。
4.使い方がわかったら自分でも使ってみて相手(できればネイティブ)の反応を見る。
この2.~4.の繰り返しです。大人になると、ネイティブの言葉に耳を傾けるだけではなかなか吸収して会話ができるようにはなりません。 実を言うと私はべトナム語が全然わからないのですが、ベトナム語力がゼロの状態でしばらく音楽を聴いたりドラマ(?)を見たりしてみたことがあります。よく耳に入ってくる「音」はあったのですが、それだけでは辞書を引くこともできず......。もちろん、そんな時に周りにいちいち教えてくれる人がいたら少しは伸びるかもですが、でなければ大人は1.のように基本的な文法や語彙をある程度覚える方が体系的に伸ばせていいと思います。
4.で自分で使ってみて、相手が「えっ?! わからない」という反応をしなければ、その言葉は次からも使ってもいいと思いますし、ちゃんと通じなかったらどこが間違っているのか(文法? 語彙? 使う対象?)などを教えてもらって覚えて、また自分でも使ってみるのがいいと思います。
バイリンガル育児をしてる親として
それでは、バイリンガル育児をしている親としてはどうでしょうか。 例えば日本人のママが韓国で子育て、のように子どもと主に接する人が海外で育児をする場合は自分の韓国語を伸ばすために周りから聞こえる韓国語に耳を傾けたり韓国語教室に通うなどできます。
韓国で子育てをする上で韓国語がわかる利点は、子どもが日本語を間違えた時や不自然な日本語を使った時になぜそうなるかが韓国語がわかったらすぐにわかることです。逆に子どもと主に接する人の国で子育て(日本人ママが日本で韓国語を子どもに習得してほしい時など)では、親が目標とする言語(この場合は韓国語)の自然な言葉を知っていると子どもにも教えやすくなります。
とはいえ、どんな言語にしても大人になってから身につけるのはかなりの努力と根気が必要です。その言語を学ぶこと自体を楽しめると、それほど苦にはならないかもしれません。
まとめ
今回は、大人の外国語習得と子どもの言語習得は根本的に違うのですが、周りからの質問などもあり、あえて今回はこのようなブログを1つ書いてみました。
大人の外国語学習は通常、以下のようになっていて子どもには見られません。
ポイント1
1.文法や単語を覚えるのは通常易しいものから難しいものへと積み上げていくから。
2.母語が邪魔するから。
3.大人は知識も経験も子どもより多いのでいいたいことも多いし複雑であることも多いから。
そして、大人になってからの外国語学習で、より自然な言葉を身につけるには以下の4つの手順となります。
ポイント2
1.基本的な文法や語彙をある程度覚える。
2.ネイティブはどんな場面でどんな言葉を使っているか耳を傾ける。
3.よく耳にする言葉で意味がわからないものは誰かに聞いてみる。
4.使い方がわかったら自分でも使ってみて相手(できればネイティブ)の反応を見る。
「学問に王道なし」
と言いますが、外国語学習も学問ではなく楽しみながら進められたらそれが一番ではないかと思います。