こんにちは!まめちゃん(@mame_chang)です。韓国で育児を始めて約10年。子どもたちは日韓バイリンガルに育ちつつあります。
韓国と日本は地理的に近いということもあり、時々一時帰国をします。一時帰国の時は、子どもを日本の学校に体験入学させたり、保育園の一時保育をお願いしてみたりしました。
親の期待としては
1.日本の学校を知ってもらうこと。
2.日本語が上達すること。
3.日本文化を体験してもらうこと。
4.日本の友達を作ってもらうこと。
などがあります。日本語で話すことや読み書きの練習などは韓国にいてもできるのですが、実際に日本の学校に入ってみることは日本人学校にでも入らない限り、難しいです。海外に住んでいると、子どもの日本語が上達することを親は望みますが、それだけでは理解できないこともいくつかあります。
今回はそのような、日本語ができるだけだは理解できない物の中でも川柳について焦点をあて、その理由や親ができることについて考えてみたいと思います。
川柳って日本語力だけあっても理解できない物? 親ができること3つ
まず、今回のブログのきっかけになった物をご紹介します。これは先日Tweeterで、こんなツイートをしました。
、
川柳はただ日本語がわかるだけでは理解できないかもしれないうちの子達も成長と共に少しずつわかるようになってくれたらいいなぁとかと思う。 https://t.co/oKvsL6ArRN
— バイリンガル育児@まめリンガル (@mame_chang) July 25, 2019
川柳というのは五・七・五の音で表現する詩ですが、ただ日本語がわかるだけでは言葉の理解だけでおわってしまいます。
例えば、このツイートの元をたどってみると
「公益社団法人有料老人ホーム協会 『第18回シルバー川柳入選作品』
であることがわかりました。ここで紹介されている川柳をひとつ見てみると、例えば次のようなものがあります。
デイサービス「お迎えです」はやめてくれ
(男性・大阪府・68歳・無職)
まず、海外で育つ子どもで親と日常的に日本語で話しているとしたら、きっと「お迎え」や「やめて」という言葉はわかると思います。また、「デイサービス」も馴染みがなくても説明してもらったら理解できる子どももいると思います。
では、言葉のパーツがそれぞれ理解できたとして全体を合わせるとどうなるでしょうか。
「デイサービスが来ました。お迎えですというのは止めてね、という意味。」
それぞれの言葉の意味がわかって、全体的に見た時
となるかも知れません。文字通りに理解すればそれでいいのですが、これは川柳だし「お迎え」の比喩的な意味というか隠れている意味がわからないと「ぷっ!」と笑ったり苦笑いには繋がらないのです。
このブログを読んでいる方で、
「お迎え」には実は「あの世/天国からのお迎え、つまり死を意味する。」
という事を知らなければこの川柳は完全に理解できたとはいえないのです。それには、ただ日本語を勉強することだけではなく、その言葉が使われている背景や比喩なども知っている必要があるのではないかと思います。もちろん、このような事は幼稚園児や小学校低学年辺りの子供に求めるのは日本で生まれ育っていたとしても難しい部分だと思います。
では、もうひとつ見てみましょう。
「インスタバエ」新種の蝿かと孫に問い
(男性・滋賀県・83歳・無職)
これは逆にわかりやすいものだと思いました。最近は世界のどこにいてもSNSがあれば繋がることが可能です。インスタはInstagramのことで、アカウントを持っている人も多いかと思います。ただ、「蝿」という漢字が難しいと思うので、そこだけ教えたらわかる子どももいると思います。
「インスタ映えって言葉があるけど、バエという言葉で新種のハエかと思って孫に聞いてみた。」
逆に言うとSNS(ここではインスタ)を使わない人や、はやりの言葉に疎い人はきっと年齢や住む場所に関係なく
「何それ?」
となるのかもしれません。
うちの子どもは理解できるのだろうか…?
では、海外で生まれ育つ子どもにはこれらの川柳が理解できるのでしょうか。下の子はまだ無理なので上の子(小学校高学年)にちょっと先ほどの2つの川柳を子どもによんで聞かせてみました。
その結果上の子の反応は、
という感じでした。
と聞いたら、
とのこと。1つ目の「お迎えです」がわからないのは予測できたのですが、2つのインスタのはちょっとわかるのでは…?と考えていた私は、
と聞いてしまいました。子どもいわく、インスタは知ってるけど「インスタ映え」は知らないとのことでした。インスタを使っていても、韓国語で使っていると日本語の「インスタ映え」という言葉はわからないのかなぁ、と思いました。
ところで、うちの子どもがこの2つの川柳が理解できなかったのは、多分の次の理由によるものだと思います。
1.文化的・社会的背景がわからないから。
2.ユーモアのセンスが違うから。
3.そこで使われている日本語がわからないから。
では、親である私には何かできることがあるのでしょうか。
親はどうしたらいい
先ほどの、うちの上の子が川柳を理解できなかったと思われる3つの理由をもう一度見てみます。
1.文化的・社会的背景がわからないから。
2.ユーモアのセンスが違うから。
3.そこで使われている日本語がわからないから。
では、1つずつ見て行きます。
★.1.文化的・社会的背景がわからないから。
1.の文化的・社会的背景は日本に住んで社会生活を営んでいたら身に付くものですが、まだ小学生なのでシルバー川柳はやっぱり難しいです。1.に加え、人生経験も必要となると思います。そのため、日本に一時帰国する時は、できるだけいつも一緒にいる家族以外の日本人と遊びやキャンプなどのプログラムを通して交流し肌で体験していくことを積み重ねていくことが大切だと思います。そのためには、親は子どもを見守るという姿勢でいることも重要な気がします。
★.2.ユーモアのセンスが違うから。
ユーモアのセンスは国や文化によって違います。そして、言語だけ理解できてもそれがどうして面白いのかがわからない事もあります。川柳に限ったことではありませんが、異なる国や文化のユーモアのセンスを理解しようと思うと、やはりその国や文化に飛び込んでいくのが一番です。
とは言っても、頻繁に一時帰国できないこともあります。そうなるとやはり日本語で生まれ育った親が架け橋となり、家庭内で冗談を言ったり日本のお笑いを見せたりするなどして、少しでも接する機会を増やすのがいいと思います。
★.3.そこで使われている日本語がわからないから。
これは、ズバリ日本語力のことになります。日本語の基礎的な力があると一時帰国の時に親元を離れてキャンプに参加したり体験入学をしたり習い事をしてみたりすることがやりやすくなります。また、日本語がわかるとテレビでお笑いをみているときに耳で聞いてわかるし、周りが話している日本語が聞いて理解できます。
このように考えていくと、海外に住んでいても日ごろから子どもと日本語でコミュニケーションをするということは、日本語の「聞く」「話す」そして「理解する」という部分の練習となるので、子どもとは日本語で話すということは習慣化しておいた方がいいと思います。
この他にも、もし子どもが川柳に興味を持ったら「川柳とは…?」とお勉強風にしてもいいと思います。あくまでも興味を持ったら…です。
まとめ
今回は、日本語だけ理解できても理解できないものとして、川柳を挙げました。そして、実際にインターネット上に公開されている川柳を2つ引用し、日本語という言語だけわかるとしたらどんな部分が理解しづらいかを考えてみました。
そして実際に海外で生まれ育っているうちの上の子に2つの川柳を私がよんでみて、意味がわかるかを聞いてみました。私の予測では2つ目はわかるだろうと思ったのですが、結果は2つともわからないという答えでした。
ちょっと残念でしたが、気を取り直してなぜうちの子がわからなかったかについて3つの原因を考え、それについて何ができるかを考えてみました。
理由は、次の3つ
1.文化的・社会的背景がわからないから。
2.ユーモアのセンスが違うから。
3.そこで使われている日本語がわからないから。
これについて親ができることは、次の3つです。
ポイント
・日本語で子どもとコミュニケーションすることを習慣化する。
・日本に一時帰国したらできる限り肌で日本文化を体験してもらう。
・海外にいる時もインターネット等を使ってコメディやお笑い等を見せる(一緒に見る)
最後になりますが、大切なのでもう一度言うと子どもと日本語でコミュニケーションすることを習慣化することはこれら全ての根底にあるものとなるので、地道に見えますが努力する価値は大いにあると思います。