こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国に住んで約15年経ちますが、そのうち10年ぐらいは子どもたちを日韓バイリンガルにしようと努力の毎日です。さて、バイリンガルというと多分多くの人の頭に浮かぶのは日本語と外国語がペラペラな人ではないでしょうか。
日本語は問題なく話せ、そして外国語でもそして外国人ともおじけづくことなく外国語で話せる人。しかし、バイリンガルとはただ単に外国語でペラペラ話せることだけなのでしょうか。
言語の能力には一般的に「読む」「書く」「聞く」「話す」があり、四技能と呼ばれています。そして文法がこれにプラスされることもあります。バイリンガルで外国語がペラペラ...という場合は、この4つの技能のうち「話す」の部分だけをみていることになります(厳密には「聞く」と「話す」ですが...)。
バイリンガルといっても種類がありますが、バランスの取れたバイリンガルになろうと思ったら「読む」「書く」の技能も伸ばすことは避けられません。
・バイリンガルの種類について ↓↓
また、私は自分の子を見ていて、ふと
と思ったことがあります。
今回、このブログではこの「読む」と「書く」という技能について調べたり感じた、次のことをお話ししようと思います。
1.子どもが文字を学ぶのに適齢期のようなものはあるか?
2.あるとしたら、それは何歳ぐらいなのか。
それでは早速本題に入りたいと思います。
子どもが文字を覚える適齢期って何歳?
日本で子育てをしていても海外で子育てをしていても子どもが幼稚園ぐらいになったら、
と親は思うもののようです。日本で子育てをしている知り合い、友人達も幼稚園の年中組辺りには自分名前だけでもひらがなで書ける子どもに何人も出会ったことがあります。
ところがそれはもしかしたら、他の国で他の国の言語で子育てをしている親も同じかもしれません。世界の色々な国の幼稚園児を知っているわけではありませんが、韓国では幼稚園辺りから少しずつハングルを教え始めて小学校に入る頃にはハングルがだいたい読めるという状態の事も多いみたいです。
ところで、私もうちの子達にはひらがな、カタカナを家で教えましたが、上の子と下の子では少しやり方が違いました。
・上の子 →当時海外受講していた「こどもチャレンジ」と「進研ゼミ」
・下の子 →上の子が使ってた教材、市販のドリル、ママとの交換日記。
・子どもとの交換日記について ↓↓
しかし次のような流れがありました。
・いくらこちらが教えても吸収が良くないことがある。
⬇︎
・ちょっとしか教えてないのにすぐ覚えた。
⬇︎
・ひらがな表を見て自分で覚えた。
そして思ったのは、
ということです。では、早速適齢期なんてものがあるのか調べてみた結果を書いてみます。
首相官邸のページに載っている資料で適齢期は?
インターネットで例えば「子ども 文字 覚える」という言葉で検索するとそのようなサイトがいくつかヒットします。
ここでいくつかご紹介すると次のようになっています。
ひらがなを正しく読めるようになるのは4歳前後であると考えられます。
5・6歳で46音が読めるのがひとつの目安です。
こどもちゃれんじより
年少さん
→ひらがなを読めるようになろう
年中さん
→自分の名前を書けるようになろう年長
年長さん
→ひらがな・かたかなをマスターしよう
マナビコより目標を一部抜粋
これをみていると、やはり4〜6歳というのがキーワードのような気がします。そして、このような年齢を出すには必ず根拠があると思います。その根拠とは長年の経験であったり研究の結果であったりするのではないかと思います。
......というわけで、何かそういう根拠になるような資料はないかなと探してみました。そこで見つけたのは、日本の首相官邸のホームページに載ってた資料です。その概要は次のとおりです。
★.概要
資料のタイトル:「発達段階と学校教育」
資料が作られた時期:2014年1月16日
資料作成者:無藤 隆(白梅学園大学)
おおまかな内容:
A:子どもの発達(知能・身体的成長・性的成熟・かな文字の読み)の時代的な変化。
B:幼児期の教育の効果(効果があるのかどうか、効果の強い時期・11歳時の学力の影響要因など)
C:5,6歳の移行の時期(文の読みの影響の原因・音と言葉遊び・5歳児の数的能力・脳の働きなど)
D:10~13歳の移行時期(思春期の発達的変化・脳や知能の発達・記憶についてなど)
E:飛び級や留年をめぐって。
この資料は全体的にかなり興味深い内容なのですが、今回の話に特に関係があるのは次の2つです。では、ここからはこの2つをちょっと詳しく見ていきます。
B:幼児期の教育の効果(効果があるのかどうか、効果の強い時期・11歳時の学力の影響要因など)
C:5,6歳の移行の時期(文の読みの影響の原因・音と言葉遊び・5歳児の数的能力・脳の働きなど)
外国語でもピアノでもバレエでも、とにかく幼いうちに始めたら上手になると思う人は多いと思います。この資料のこのパートでも、
「幼児期への学習への投資はその後と比べて特に効果的である(Heckman)」
としています。Heckmanとは、この資料によるとアメリカの幼児教育のデータに基づいて投資効果を推計した上で、幼児期の教育は効果があるという指摘したとのことです。
また、11歳時の学力への影響要因としてグラフが載っており、影響を与えるものから順に並べると次のようになります。
「家庭学習環境」
「収入」
「社会経済的地位」
「母親の学歴」
「小学校教育」
「幼児教育」
「父親の学歴」
これはかなり興味深いと思いました。伝統的な考え方で父親は外で仕事をしてきてお金を稼ぎ、母親は家庭にいて家事をしたり子育てをするものだと考えると、母親の学歴が父親の学歴よりも影響を与えやすく、母親の学歴が家庭学習環境に影響を与える…、と考えるとなかなか興味深いと思いました。
さらに、EPPE(Effective Pre-school and Primary Education)によると、幼児教育の質が高くなるにつれて小学校での学力の向上が見られたといいます。
では、次に「C:5,6歳の移行の時期(文の読みの影響の原因・音と言葉遊び・5歳児の数的能力・脳の働きなど)」をみてみましょう。
★.C:5,6歳の移行の時期(文の読みの影響の原因・音と言葉遊び・5歳児の数的能力・脳の働きなど)
ここで紹介されている研究によると、幼稚園児の文の読み能力は、どれだけ覚えられるかと共に耳にする音を文字でどのように書くかやその単語がどのよう意味を持つかということが影響します。そして、特に5歳児の読みの能力の伸びは著しいそうです。
そして、しりとりなどに代表される言葉遊びは4~5歳で盛んとなるそうです。しりとりは、相手が言った言葉の最後の音を取り出してその音で始まる言葉をいってつなげていく遊びですが、どこからどこまでが1つの音なのかちゃんとわかっていないとできません。
また別の研究によると、注意力や集中したりする機能は、4~5歳の発達が特に著しいそうで、これは7歳までにはほぼ完成するそうです。そのため、4~6歳はそのような完成に移ることができるような教育が望ましいようです。
この資料を見ていると、やはり幼児期って音がちゃんとわかるようになったり頭にちゃんと入ったりする時期なのですね。そしてそれは小学校に入った後にもつながるようです。最近、しりとりをしようと言ってきたうちの下の子は、まさに幼児期なので、面倒とか思わないでちゃんと一緒にしりとりに付き合ってあげないといけないなと思いました。
この資料のポイントをまとめると次のようになると思います。
ポイント
・幼児期の教育は効果的である。
・5歳児は頭の中に覚えたことをどれだけ溜めておけるか、耳にする音はどんな意味をもつのか、どのように書くのかということが読む能力に影響する。
・しりとりは、4~5歳が盛んとなり、これは子どもが音と音の切れ目やまとまりを認識するのによい。
......とすると、適齢期はやっぱり4~5歳といったところでしょうか。
海外育ちのバイリンガル児に文字は必要?
ここで、話をこのブログのメインテーマであるバイリンガル育児に移したいと思います。海外で育ち現地語と共に日本語も身につけようとしている子どもにも文字って、覚える必要があるものなのでしょうか。答えは、「はい」と「いいえ」になると思います。
例えば、四技能のバランスのとれたバイリンガルにしたいなら文字も必要になりますし、読み書きはいいからとにかく日本語がしゃべれるようになってほしいのなら、読み書きは要らない、または後回しとなると思います。
このブログを書いていてもいつも思うのですが、バイリンガル育児をやっている家庭の数だけバイリンガル育児の考え方や方法があり、どれが正解でそれが正解ではないとか、どれが成功でどれが失敗とかはなかなか客観的には判断しにくいものです。
そのため家族で、または夫婦で設定したゴールに読み書きが含まれていたら読み書き習得を目指して4~5歳ごろに特にがんばるのがいいように思います。但し…、無理強いは禁物です。
周りでバイリンガル育児をやってる親は意識してるかな?
実際に私の周りを見回してみても、お子さんに韓国語と日本語を覚えて欲しいと幼稚園児の間にお子さんに読み書きを教えている親御さんも多いです。その際、見ていて思うのは、
・こどもチャレンジなどの教材として送られて来た教材の中に読み書きがあるからやってる。
・幼稚園ってひらがなやカタカナを覚えるもの。周りを見ていてもそういうもの。
のようにとらえている人も多そうだということです。もちろん、大手だしさきほど書いたようにきっと長年の経験や研究結果が生かされた教材だと思うのですが、親にもどうして4~5歳が適齢期なのか、理解した上で子どもが読み書きの勉強ができればいいなと思います。
また先ほどの首相官邸からの資料は、あくまでも日本在住の子どもたちを念頭においたものだと思います。海外で育つバイリンガル児は、言語が複数あるので、個人的には4~5歳にそれほどこだわらず、5~6歳と考えてもいいような気がします。
まとめ
今回は、我が子を見ていてふと
と思ったことをきっかけに、調べてみました。今回のポイントは次のとおりです。
今回のポイント
・幼児期の教育は効果的である。
・5歳児は頭の中に覚えたことをどれだけ溜めておけるか、耳にする音はどんな意味をもつのか、どのように書くのかということが読む能力に影響する。
・しりとりは、4~5歳が盛んとなり、これは子どもが音と音の切れ目やまとまりを認識するのによい。
・海外在住のバイリンガルは4~5歳にとらわれず、5~6歳と考えてもよいのではないか?
今まで、なんとなくそういうもの...と思ってきたものが、このように研究結果に後押しされると、難しいことはわからなくても納得がいくものではないかと思います。
また、研究結果や長年の経験はそれだけで価値があるものですが、今回ご紹介したものは海外にいるバイリンガル児を対象にしたものではないので、海外にいるバイリンガル児の場合はもう少し緩めに考えてもよいのではないかと思います。