こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国で子どもたちを日韓バイリンガルにすべく毎日奮闘しています。
私達は生まれてから親や周りと一緒に話をして、まず聞いたり話したりすることができるようになります。そして幼稚園児ぐらいになると、鉛筆を持ってグルグルと曲線を書いたり、まっすぐな直線そして角のある線を書いたりしながら、読み書きを学ぶ準備をします(運筆)。
そして、学習教材を見たり親に教えてもらったりしながら文字が1つずつ読めるようになり、画数の少ないものから少しずつ書くことができるようになります。
ちなみに、うちの下の子(幼稚園児)が覚えた最初の平仮名は、「し」でした。理由は「し」は、画数が一画で少ない平仮名のうちのひとつだし、何よりも当時子供が大好きだった「しまじろう」の名前の「し」でもあるからです。
ところが、読み書きの勉強を進めて行くと不思議な現象が起こります。子どもにちゃんと教えたはず、子供もちゃん覚えたはずの平仮名やカタカナをまるで鏡にでも映したように左右反対に書くのです。
これはどうしてなのでしょうか。今回このブログではこのように子どもが文字を左右反対に書く「鏡文字」について、次のことをお話したいと思います。
1.鏡文字は放置しておいてもいいのか。
2.海外でバイリンガルとして育つ子どもたちにも同じことが起こるのか。
3.日本語を外国語として学習する大人も鏡文字を書くのか。
4.親ができることは何か。
それでは順番に見ていきましょう。
鏡文字を子どもが書く!バイリンガルの子どもも鏡文字を書くの?
それではまず、「鏡文字」とは何か?から見ていきます。Wikipediaを見ると次のように書いてあります。
鏡文字(かがみもじ)とは、上下はそのままで左右を反転させた文字である。鏡文字で文章を綴る際には文字の進行方向も言語本来の進行方向に対して左右逆になる。鏡に映すと正常な文字・文章が現れる。鏡像文字ともいう。
左利きの場合自然と鏡文字を書くことや、5~6歳までの子供が無意識に鏡文字を書く事例が知られているが、原因はよく分かっていない
Wikipedea「鏡文字」より
ここには
「原因はよく分かっていない」
と書かれていますね。ここで鏡文字の例をあげたいと思います。下の画像は、幼稚園児のうちの子が年長組の時に書いた文字です。「もも」と書こうとして左右反対になっています。
これは私と一緒にいる時に練習として書いたものです。子どもがひらがなを練習したいと言うので
「じゃ、●●って書いてみて」
と、以前教えたことがある言葉を言いました。すると、書いた文字の中に鏡文字が混ざっていたというわけです。それでは、先ほどのWikipediaには、
「原因はよく分かっていない」
と書いてありましたね。また、海外で育つバイリンガルという点から見てみても、日本語に限らずその他の言語でも幼児というものは鏡文字を書くもののようです。それにしても、なぜ子どもって鏡文字を書くのでしょうか。
なぜ子どもは鏡文字を書くの?
先ほどのWikipediaには「原因はわからない」と書いてあったのですが、果たして他のサイトなどにもそのように書かれているのでしょうか。ちょっと調べてみました。子どもの鏡文字について書いてあるサイトは、結構たくさんあります。その1つ1つをここでご紹介することはできないのですが、書いてあったことをざっとまとめると、次のようになります。
1.幼児が鏡文字を書くのは正常で小学生になったら大丈夫。
2.幼児はまだ右と左の区別が十分ついていないから起こる。
3.幼い子どもはまだ脳の発達が十分ではないから。左脳が発達してきたら問題なくなる。
4.発達障害(特にLD)があると起こる可能性がある。
5.左利きは鏡文字を書く事が多い。
6.天才は大人でも鏡文字を使う。
たくさんありますね…。多いのでちょっとこの辺までにしますが、全体的に見ると幼児はまだ左右の区別がちゃんとついてないし、目でみた情報を脳で処理して手で書くのですが、その脳の発達がまだ十分ではないため鏡文字になるということのようです。そして、それは小学生になると自然に直るので大丈夫ということのようです。
…と考えると、小学生になると学校で本格的に国語の時間で読み書きが始まることや、脳が十分発達するので鏡文字も自然と書かなくなる、ということなのかもしれません。それでは、脳が十分に発達した大人で日本語を勉強している人は、鏡文字は書かないものなのでしょうか。
大人の日本語学習者は絶対に鏡文字を書かない?!
先ほど調べたいくつかのサイトによると、大人になっても鏡文字を書く人はごく少数ですがいるようで、それはいわゆる天才と呼ばれる人達だったり、発達障害(特にLD)があると鏡文字を書く事があるとのことです。これは日本語を国語として学んだ人達のことですが、外国人に対する日本語教育の経験が結構長い私は、今までさまざまな国の人たちに日本語を教えてきました。
そこでこの鏡文字ですぐに頭に浮かぶのは......
カタカナの「ミ」の鏡文字
平仮名の「ま」と「も」の混同による鏡文字
この2つです。カタカナの「ミ」は、左から斜め下に三本書くのが正しいのですが、鏡のように「彡」と書く間違いをよく見ました。また、平仮名の「ま」と「も」は日本人からしたら全然別なのですが、上から下に線を引いて右回りなのか左周りなのか迷い、結局「ま」の鏡文字になってしまった… というパターンを見ます。
そして、これは特に初級、そして時々中級にもいることから、まだまだ日本語を書くことに慣れず定着していない学習者に起こることだと思います。そして、きっとそれは幼児について先ほどあったような脳の発達や左右の認識が不十分ではないというのはあまり関係ないように思います。
子どもが鏡文字を書いた時に親ができること3つ
それでは、子どもが鏡文字を書いたのを見た時、親はどうしたらいいのでしょうか。ただ、放置しておけば本当に小学生になるころには自然と直るのでしょうか。日本で生まれ育つと、小学生になるのと共に国語の時間に直してくれそうです。しかし、海外在住で現地校に通う子どもの場合はどうでしょうか。
海外在住で現地校に通っていても、週末に補習授業校や日本語サークルなどに通っていたら、直す(直してもらえる)チャンスはあると思います。しかし、世界のどこにでも補習授業校があるとは限らないし、日本語サークルは自助グループであることも多く、運営がうまくいかないと消滅してしまうこともあります。
自助グループやサークルの運営や消滅についての参考記事↓↓
そう考えると、子どもが日本語を書くチャンスは家庭内や親戚、友人またはオンライン…など、限定的になることが考えられます。また、意味がわかればいいというレベルなのか、または完璧ではないがとにかく「書く」という事をしてほしいのかなど、目的によっても厳しさ、ゆるさが変わってくると思います。
ここでは、親はできるだけ正しく書けるようになって欲しいと考えているという前提で考えると、鏡文字を書く子どもには次のような対応ができるのではないかと思います。
1.まず書いたことに対して褒めて鏡文字を訂正する。
2.訂正しても鏡文字が時々現れることがあるので根気よく。
3.訂正する時は、子どもの意欲が下がらないように訂正しすぎない。
なかなか、さじ加減が難しいところですが、鏡文字のまま覚えてしまうと逆にあとで直すのが大変になりそうです。そのため、子どもの意欲が下がらない程度に指摘しつつ、直していくのがいいのではないかと思います。もちろん、指摘したあと、子どもが正しくかけたらちょっとオーバーにでも褒めるのがいいと思います。
まとめ
今回は幼児がよく書く「鏡文字」をテーマに、次の4つについて順番に見てきました。その4つと、親にできることをまとめると次のようになります。
ポイント
1.鏡文字は放置しておいてもいいのか。
→日本で生まれ育つなら、小学生になると自然に直るので心配ない。
2.海外でバイリンガルとして育つ子どもたちにも同じことが起こるのか。
→日本語のみでなく他の言語でも起こる。
3.日本語を外国語として学習する大人も鏡文字を書くのか。
→幼児ほどではないが多少起こるが、原因は他の文字との混同などで幼児とは異なる。
4.親ができることは何か。
→海外で生まれ育つバイリンガル児に限って言えば、鏡文字が定着しないように様子を見ながら訂正する。
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そして海外で子どもをバイリンガルにしようとしている親にできる事は次のとおりです。
1.まず書いたことに対して褒めて鏡文字を訂正する。
2.訂正しても鏡文字が時々現れることがあるので根気よく。
3.訂正する時は、子どもの意欲が下がらないように訂正しすぎない。
鏡文字も子どもの発達の一部と捉えられたら温かい目で見ることができますが、海外のように日本語に触れる機会がかなり限定的だと、温かい目だけで見ることもできません。子どもを観察しながら進めていけたらいいですね。