こんにちは。まめちゃん(@mame_chang)です。韓国で2人の子どもたちを日韓バイリンガルにしようと、努力の毎日を過ごしています。
以前、このブログでは世界の言語の中でも「音」が多い言語について紹介しました。そして、「音」とは正確には何か、そして世界の言語でこの「音」が多い言語は、「音」をいくつぐらい持っていいて、それがどんな響きであるかなどについて書きました(音声あり)。
・世界の言語で「音」が多い言語は? ↓↓
今回は、この過去の記事とは全く反対のことを調べてみました。つまり、世界の言語の中で「音」が一番少ないのは、どんな言語なのかな…?ということです。
それでは世界で一番「音」が多い言語のことを少し振り返りながら、世界でもっとも「音」が少ない言語についてご紹介したいと思います。
世界で「音」の種類が一番少ないのはどんな言語?
さて、世界で「音」の数が一番少ない言語の話をする前に、この「音」とは何なのか振り返っておきたいと思います(この部分は↑参考記事の一部と重なります)。
「音」とは、正確には「音素」といい、ある言語の中で意味の違いをもたらす音です。例えば、
・退学(たいがく)
・大学(だいがく)
これら2つは意味が違います。それは、「た」と「だ」が違う音素で「た」と言った時と「だ」と言った時では、意味が変わかるからです。つまり、「た(/t/)」「だ(/d/)」は、違う音素だということです。
そして、日本語はこのような音素が何個あるのでしょうか。日本語は、全部で23個です。その内訳は以下のとおりです。
・母音→5個(/a/, /i/, /u/, /e/, /o/)
・子音→13個(/k/, /s/, /t/, /c/, /n/, /h/, /m/, /r/, /g/, /z/, /d/, /b/, /p/)
・その他→5個(/j/, /w/,/n/, /q/, /h/)
参考記事で紹介した、世界で一番音素が多い言語に比べると、音素の数がかなり少ない日本語。日本語がネイティブの私は、23個の音素ならちゃんと区別して聞き分けられるのですが、日本語にない音素は正しく聞き取れないし迷ってしまいます。
それではいよいよ、世界で一番音素が少ないと言われている言語のご紹介です。
世界で一番音素が少ない言語はこれ!
世界で一番音素が少ないとされている言語は、ブラジルにある民族の言語です。ブラジルといえばポルトガル語ですが、世界で音素が一番少ないのはポルトガル語ではありません。
ブラジルと言えば、有名なものにアマゾン川があります。そのアマゾン川の近くに住んでいる「ピダハン族」の言語(ピタハン語)が、世界で音素の数がもっとも少ないと言われています。
では、このピタハン族の概要をまず見てみます。
★.概要
人口: 約400人
住んでいる場所: ブラジル、アマゾナス州のアマゾン川近辺
ピタハン族がわかる言語: ピタハン語のみの人がほとんど。
ブラジルはわかるけどアマゾナス州はピンと来ない…という方のために、Googleの地図を↓↓に準備しました。
かなり内陸ですね。ピタハン語しかわからない人がほとんどいう環境で、言語学者の人たちがきっとインタビューなどをして、音素の数を割り出したのではないかと思います。
では、いよいよ音素の数を見てみましょう。
ピダハン語の音素の数
ピダハン語の音素の数は、研究者の分類にもよりますがだいたい10~12個と言われているそうです。日本語が23個なので単純に数字だけ見たら半分を少し下回りますね。
・母音 →3個(/a/, /i/, /o/)
・子音 →7個(/p/, /t/, /k/, /ʔ/,/b~m/,/g~n/,/s~h/,/h/)
この、「//」の中の数を数えると11個になりますが、/k/を数えないこともあるそうです。これだけしかないのに、単語はたくさん作れるの…?と心配になりますが、ピダハン語には声調もあるそうなので、同じ言葉に見えても声調によって意味の違いが出てくるのだろうと思います。
また、ある意味閉ざされた(?)民族であるせいか、単語の数や種類そして世界観までも世界の他の言語とは異なるようです。
例えば、ピダハン語の文法には過去形もなければ未来形もないそうです。また外国語を習ったら一般的に初級のうちに勉強する「数字」や「色」「位置」を表す言葉もなかったり極端に種類が少なかったり、他の言語と表現のしかたが違うそうです。そして不思議なことにピダハン語は、口笛や音楽にもできるそうです(↓↓下の方に動画あり)。
外国語を学ぶ時、難しいと感じるのは次のようなことではないでしょうか。
・発音
・声調がある言語なら声調
・アクセント
・文法
・自然な語彙や表現の選択
しかし、音素の数が少なく文法は過去形も未来形もない…。ここまで聞くと勉強して身につけるのが他の外国語よりは簡単に思えるかもしれません。
…とはいえ、ピダハン語を話す人は世界で400人ほどしかいないしピダハン族以外とはコミュニケーションを取ることができない言語のように思えます。そして教科書などもなさそうです。
音素の数が少ないというだけで、気軽に学べる言語ではなさそうですね。
実際にピダハン語の響きを聴いて見よう
音素の数が世界でもっとも少なく、文法は過去形、未来形がないというピダハン語。一体どんな響きなのか気になります。インターネットで検索してみたところ、ピダハン語を話す人の様子を映した動画がありました。
まず、「ピダハン語は口笛や音楽にもできる」というのは、↓次のようなことです。一見、2人の男性が口笛をお互いに吹いているだけのように見えますが、会話しているのです(「口笛言語」というのもあります)。
<↑↑口笛で会話をしている様子。>
そして、↓↓以下は「ピダハン語で喋ってみた」という動画です。日本語訳付です。
ピダハン語の単語と文章。やはり音素の数が少ないので、母音が連続していたり同じスペルで声調記号らしきものが見えますね。
個人的な感想ですが、言語の響きとしては非常におもしろいと思います。
まとめ
今回は、世界でもっとも音素の数が少ないとされている「ピダハン語」に焦点を当てました。そして音素以外に、人口や地理や文法などの話もしました。ポイントを抜粋すると次のようになります。
ポイント
・ピダハン語を話す人口は約400人。
・ブラジル内陸のアマゾナス州にいるピダハン族の言語。
・音素の数は研究者によっても違うが母音と子音を合わせて10~12個。
・文法は過去形と未来形がない。
・ピダハン語は口笛や音楽にもできる。
なお、ピダハン語やピダハン族についてもっとよく知りたい場合は、本を読むことをおすすめします。
アマゾンの方は↓へ。
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世界には本当に色んな言語があっておもしろいですね!