こんにちは!韓国で2人の子どもたちを日韓バイリンガルに育てようと毎日努力中のまめちゃん(@mame_chang)です。
学生の時に、国語の授業で教科書を声をだして読まされたり、外国語の授業で当てられて文章を声に出して読んだりしたことはありますか。
国語の授業で先生に当てられたから、または外国語の発音がちゃんとできるかチェックするために声に出してみる。そんな風に声に出して文章を読んでみるという経験は、多かれ少なかれあると思います。
「音読」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。文字だけ見ると「音」「読」なので、この文脈からすると「音(音声とか声)を出して読む…?」ぐらいに繋がるかもしれません。
今回、このブログではこの「音読」について次のような点に絞って書いてみたいと思います。
・音読って何?
・音読ってどんな効果があるの?
・海外で子どもに日本語育児をしている場合、どんな風に役立つの?
では、早速1つずつ見ていきましょう。
音読とは? その効果を育児に役立てる方法
早速、「音読って何?」から見ていきたいと思います。辞書的な意味は、次の通りです。
声を出して文章を読むこと。←→黙読。
コトバンク「音読」より
声に出して文章を読むことで、黙読の対義語となっています。ここまでは、わかりやすいですね。ちらっと文部科学省のサイトを見てみると、それに加えて次のようなことが書いてありました。
- 「音読」は、黙読の対語(たいご)だから、声に出して読むことは広く「音読」である。
- 「音読」は、正確・明晰・流暢(正しく・はっきり・すらすら)を目標とする。
文部科学省 CLARINET「7.音読・朗読」より
つまり、この2つを合わせると「音読」とは次のような意味になります。
・黙って読む「黙読」の反対の言葉で、声に出して文章を読むこと。読む時は、正しく、はっきりすらすらと読めることを目標とする。
ただ声に出して文章を読めばいいというわけではなく、正確なのか、スムーズなのかも関係があるということですね。では、次に音読には一体どんな効果があるのか見てみます。
音読の効果
音読をする時は声に出して文章を読み、正確性や滑らかさを目標にするとしたら、読んでいる本人が正確に読めるためには文字を正しく読めないといけないし、すらすらと読めるためには声に出す前に目が文字を追っていて、ひとつの文の中で意味の切れ目や息つぎをすべき箇所がわかっていなければなりません。でないと、途中で詰まったり変なところで切れたりしてしまうからです。
音読の効果について色々と調べてみたところ、肯定的な意見・否定的な意見の両方があることがわかりました。それらは一般的なブログであったり新聞記事であったり論文であったりSNSなど、さまざまです。そのため、今回は論文をいくつかサッと目を通してみました。内容が見られない時は、要旨だけを読んでみました。その結果を箇条書きにします。
・音読は、読んだ文章を一語一語たどったり、内容を理解するのに良い。
・文章の内容が難しくなると、音読よりも黙読の方が効率よく読める。
・音読は短期記憶に向いていて、黙読は長期記憶に向いている。
・黙読よりも音読の方が、よく理解ができると報告している研究は研究対象が大人ではなく年齢が低いことが多い。
音読に関するすべての論文を読んだわけではないですが、だいたいの研究は大学生などの大人を対象にしていました。また研究に協力した人が、渡された文章を音読する時間、内容の難しさ、量は研究によって違うので、いくつかの研究結果だけをみて
と結論づけるのは難しいと思いました。今回読んでみた論文の内容を、簡単にまとめると次のようになります。
音読は年齢が低い方が効果が出やすく、内容理解には良いが長い間記憶しておくにはあまり向いてない。しかし、これは年齢や文章を音読するのに与えらえた時間、量、難易度によっても変わる。
では次に海外で日本語育児をしている場合は、どのようにすればいいのか考えてみたいと思います。
海外で子育て!音読はどうすればいい?
ここまで書いてきたことは、すべて日本国内で日本語が母語の人たちを対象にやってきた研究の結果で海外で育つ子どもたちが対象ではありません。先ほど、いくつかの研究結果を簡単にまとめましたが、それをそのまま海外での日本語育児に適用するのは、ちょっと違う気がします。
まず、海外日本語育児で子どもが日本語で音読できるには、いくつかの前提が必要になるからです。
・日本語が読めるかどうか。
・日常的に日本語を使っていて、日本語は外国語ではなく国語または継承語であるか。
・「継承語」という言葉にピンと来ない方は、参考記事をご覧ください。↓↓
海外で生まれ育っていて親が日本人だとしても、ある程度の成長してから日本語を始めるとそれは外国語として接するのと同じになります。また、親が日本人で日常的に日本語を使っていても会話だけで、読み書きはさっぱり…という子どももいます。
海外日本語育児の場合、日本語を読むとしたら絵本、一般の本、漫画、日本語学習教材、日本の教科書、お友達などとのやり取りがあればお手紙やSNSなどでしょうか。
我が家では子どもに絵本の読み聞かせをする時などに、子どもが絵本を音読します。だいたい1冊だけなのですが、絵本によっては子どもが大変なので、私と1ページずつ交互に読むこともあるし子どもが読めるところまで読んで残りは私が読む(読み聞かせをする)ということもあります。
このような経験と先ほどの研究結果を照らし合わせてみると、ふと
と思うところがありました。それは例えば次のことです。
・音読しているけど記憶は短い期間しかもたないわけではなく、結構長い間覚えている。
・我が家の音読では、読んだあとしばらくして音読した内容を書いてみることは時々しかしない。
やはり先ほどの研究結果は大学生が中心であることや、我が家での音読は子どもが読みたい本や読めそうな本を選ぶのでジャンルが偏っているし、同じ本を何度も何度も読むので自然と覚えてしまいます。そのため、短期記憶にはならないのです。
また、内容理解についても研究に使われた文章が文字だけなのに対して、うちの子が読んでいるのは絵本が中心です。絵本は視覚情報が満載なので、視覚情報と読み聞かせの声、わからない時は親に聞くなどして理解を深めています。
こうやって見てみると、やはり比較できないなぁとは思います。それでも私が子どもに音読をさせているのには理由があります。それは次の通りです。
・子どもが声に出して読んでくれないと文字を正しく読めているのか親(←私)が把握できないから。
・声に出して読めば、単語の切れ目などが自然か親(←私)がチェックできるから。
結局、親(←私)が確認できるかどうかが理由です。うちの子に音読させてみてわかったのは、次のことです。
・「と」と「を」を間違えて逆に読んでることがあり、自信がなさそう。
・「さ」と「ち」を間違えて逆に読んでいることがあり、自信がなさそう。
・カタカナは覚えた!と思ったらすぐ忘れるの繰り返しで読んでいて止まることが多い。
・拗音(病院の「びょ」、ちょっとの「ちょ」など)を正しく読むの時間がかかることがある。
そしてこれらを1つずつ根気よく訂正したり、正しく読めるまで待つことが今回のブログの最初に引用した文部科学省のサイトに書いてあった音読の目標、「正しく、はっきり、すらすらと読めることが目標」に近づいていくのではないかと思います。
海外で育つ子どもは、日本人学校に通っていなければ、日本語の本を音読するのは補習授業校や日本語教室(自助グループなど)、そして家庭学習などです。継続してやらないと、あっという間に忘れていくので音読により親が少しでも正しく、はっきり、すらすらと読めるように助けていけると考えると、「海外日本語育児において、音読は効果がある」と言えるのではないかと思います。
音読に使う絵本や教材
次は教材の話です。音読には色んな教材がありますが、ここではごく一部をご紹介したいと思います。
・子どもの年齢や興味に合った絵本。
・海外育ちの子どもの場合は、学年ではなく日本語力に合った教材(日本の教科書など)。
・市販されている音読教材。
・インターネットで無料配布されている音読教材
絵本もいろいろあって、たとえば童話館の絵本なら「読んであげるなら 4才から」「じぶんで読むなら小学校初級むき」などと書いてあるので選びやすいです。
市販されている教材は、たくさんあります。例えば、Amazon.co.jpなら以下のリンクから一覧が見られます。
楽天なら、以下のリンクにまとまっています。
インターネットで無料配布されているものは色々ありますが、広島県教育委員会のホームページには、「子供たちに声に出して読んで、覚えてほしい・書いてほしい作品集」というページがあり、作品集がPDFで無料ダウンロードできます。
子どもの年齢や好み、日本語力(国語力)などによって、一番合う教材を親子で選べたらいいですね。
まとめ
今回は「音読」をテーマに、最初に挙げた3つについて1つずつ見てきました。調べてみると賛否両論あり、なかなか判断が難しいものもあったので、今回は論文もいくつか読んでみました。そして海外で子どもをバイリンガルにしようとしている場合は役に立つのかということを我が家の話も交えつつ書いてみました。
ポイントは次の通りです。
ポイント
●音読って何?
→文部科学省のサイトによると声に出して読むことで、正確にはっきりすらすらと読めることが目標。
●音読ってどんな効果があるの?
→研究により結果が異なるが、短い期間の記憶や内容理解に効果がある。
●海外で子どもに日本語育児をしている場合、どんな風に役立つの?
→子どもに音読をさせることにより、読み間違いや言葉の切れ目などがチェックできる。これを根気よくすることで文部科学省のサイトにある目標に少しでも近づけるのではないかと思う。
科学的なデータを基にした論文には説得力がありますが、研究に協力した人たちや条件などを見ると、我が子とは違うことがあり、全部を当てはめることはできません。このような結果はありがたいものとして受け止め、
と自分の子にどのようにその結果が使えるのか(または使えないのか)を考えていくのがよさそうです。